AWSとAzureのどちらを使うか、どちらから学ぶかで迷っていませんか。主なサービスの対応、料金の仕組み、無料で試せる範囲、日本のリージョンを並べて比べると、自分の状況に合うほうを決められます。
AWSとAzureの違いを一覧で比較
AWSはAmazon Web Services、AzureはMicrosoftのクラウドです。できることは似ていますが、サービスの分け方や名前が違います。Microsoftの「Azure for AWS professionals」によると、AWSでは権限の付与や費用の管理の単位として「アカウント」を使い、Azureではそれに近い「サブスクリプション」を使います。
| 比べるもの | AWS | Azure |
|---|---|---|
| 権限・費用を分ける単位 | アカウント | サブスクリプション |
| 仮想サーバー | Amazon EC2 | Azure Virtual Machines |
| サーバーレス | AWS Lambda | Azure Functions |
| Kubernetes | Amazon EKS | Azure Kubernetes Service(AKS) |
| オブジェクトストレージ | Amazon S3 | Azure Blob Storage |
| 仮想サーバー用のディスク | Amazon EBS | Azure managed disks |
| リレーショナルDB | Amazon RDS | Azure SQL Database、Azure Database for MySQL/PostgreSQL |
| NoSQL | Amazon DynamoDB | Azure Cosmos DB for NoSQL |
| IDと権限の管理 | AWS IAM | Microsoft Entra ID、Azure RBAC |
| 監視 | Amazon CloudWatch | Azure Monitor |
| インフラをコードで管理(IaC) | AWS CloudFormation、AWS CDK | ARMテンプレート、Bicep |
| 日本のリージョン | 東京、大阪 | Japan East(東京・埼玉)、Japan West(大阪) |
AWSとAzureの料金の違い
どちらも使った分だけ払う従量課金が基本
オンデマンドの仮想サーバーは、AWSもAzureも使った秒数に応じて課金されます(Microsoft「Compute services on Azure and AWS」)。2026年10月20日時点、AWSのEC2は最低60秒で、秒単位の課金になるのはAmazon Linux・Windows・Red Hat Enterprise Linux・Ubuntu・Ubuntu Proです(Amazon EC2 pricing)。
長く使うなら割引の仕組みを使う
- AWS Savings Plans:柔軟な料金モデルで、オンデマンド料金より最大72%安くなります(2026年10月20日時点、AWS Savings Plans)
- Azure Reservations:1年または3年の利用を約束し、従量課金より最大72%安くなります(2026年10月20日時点、What are Azure Reservations?)
- Azure savings plan:1年または3年の間、1時間あたり決まった金額を使うと約束し、対象の利用が安くなります(What are savings plans?)
止まってもよい処理はスポットで安くする
AWSのスポットインスタンスは、使われていないEC2の容量をオンデマンド料金より最大90%安く使えます(2026年10月20日時点、Amazon EC2 pricing)。AzureのSpot Virtual Machinesも、空いている容量を安く使えます(Azure Spot Virtual Machines)。どちらも、AWS・Azureが容量を必要としたときに止められます(Spot Instance interruptions、Azure Spot Virtual Machines)。バッチ処理や開発・テスト環境のように、途中で止まってもやり直せる処理に向いています。
Windows Server・SQL Serverのライセンスがあるなら Azure Hybrid Benefit
Azureには、手元のWindows ServerやSQL Serverのライセンスを使ってAzure上の料金を抑える「Azure Hybrid Benefit」があります(Azure Hybrid Benefit)。Windows Serverで使うには、有効なソフトウェア アシュアランスが付いたライセンスか、条件を満たすサブスクリプション ライセンスが必要です(Azure Hybrid Benefit for Windows Server)。
料金は公式の計算ツールで見積もる
使うサービスとリージョン、台数、時間を入れると、月額の目安を出せます。同じ構成を両方で入れて比べてください。
AWSとAzureを無料で試せる範囲(2026年10月20日時点)
| AWS | Azure | |
|---|---|---|
| もらえるクレジット | 新規アカウントで100ドル。主なサービスを試すとさらに最大100ドル(合計最大200ドル) | 200ドル(30日間) |
| 無料で使えるもの | Free planでは90以上のサービスをクレジットの範囲で試せる。30以上のサービスは毎月の上限までずっと無料(Free plan・Paid planの両方) | 人気の20以上のサービスが12か月、毎月決まった量まで無料(新規のみ)。65以上のサービスは毎月決まった量までずっと無料 |
| 期限が過ぎたら | Free planのアカウントは6か月後か、クレジットを使い切ると閉じる。Paid planに切り替えない限り請求されない | 30日後やクレジットを使い切った後も続けるなら従量課金に切り替える |
AWSとAzureのリージョンの違い(東京・大阪)
AWSは39のリージョンに124のアベイラビリティーゾーン(AZ)を持ち、さらに7つのAZと2つのリージョン(サウジアラビア、チリ)を増やす予定です(2026年10月20日時点、AWS Global Infrastructure)。日本には東京(ap-northeast-1、AZは4つ)と大阪(ap-northeast-3、AZは3つ)があります(2026年10月20日時点、AWS Regions)。
Azureの日本のリージョンは、Japan East(東京・埼玉、AZは3つ)とJapan West(大阪、AZは3つ)で、この2つがペアになっています(2026年10月20日時点、Azure regions list)。
日本国内のリージョンを使いたい場合は、どちらでも東京と大阪から選べます。
AWSとAzureのセキュリティ・ID管理の違い
クラウド側と利用者側で守る範囲が分かれている
AWSは、クラウドを動かすハードウェアやネットワーク、施設を守り、利用者はクラウドの中に置いたものを守ります。これを「責任共有モデル」と呼びます(AWS Shared Responsibility Model)。Azureも同じ考え方で、どの使い方でも、データとエンドポイント、アカウントとアクセスの管理は利用者の責任です(Shared responsibility in the cloud)。
IDと権限の管理:IAMとMicrosoft Entra ID
AWSではIAMでユーザーや権限を管理します。Azureでは、ユーザーやサインインをMicrosoft Entra IDで、Azureのリソースへの権限をAzure RBACで管理します(Azure for AWS professionals)。Microsoft Entra IDは、Azure Active Directory(Azure AD)から名前が変わったものです(New name for Azure Active Directory)。古い資料で「Azure AD」と書かれていたら、Entra IDのことです。
脅威の検知とセキュリティ管理
- Amazon GuardDutyに近いのはMicrosoft Sentinel
- Amazon Inspectorに近いのはMicrosoft Defender for Cloud
対応関係はMicrosoftの対応表(Azure for AWS professionals)にもとづきます。
AWS CLIとAzure CLIで両方を触ってみる
AWS CLI:インストールを確かめてサインインする
aws --versionバージョンが表示されなければ、AWS CLIのインストール手順に沿って入れます。
aws configure sso
aws sso login --profile プロファイル名IAM Identity Centerを使う場合は、aws configure ssoで設定し、aws sso loginでサインインします。aws configure ssoの最後に聞かれるプロファイル名を、--profileで指定します。プロファイル名をdefaultにすると、--profileを省けます(Configuring IAM Identity Center authentication with the AWS CLI)。ほかの認証方法はConfiguring settings for the AWS CLIにあります。
aws sts get-caller-identity --profile プロファイル名今どのアカウント・どのユーザーで操作しているかが表示されます(get-caller-identity)。
Azure CLI:インストールを確かめてサインインする
az versionバージョンが表示されなければ、Azure CLIのインストール手順に沿って入れます。
az login画面の案内に沿って、Azureのアカウントでサインインします(Sign in with Azure CLI)。
az account show今使っているサブスクリプションが表示されます(az account)。
AWSとAzureの選び方
次のうち、当てはまるものから順に決めてください。
会社やチームですでに使っているほうを選ぶ
社内ですでにどちらかを使っているなら、同じクラウドを選ぶと、今あるアカウント(サブスクリプション)や請求、権限の管理に合わせて始められます。
Windows ServerやSQL Serverのライセンスを持っているならAzureを比べる
条件を満たすライセンスがあれば、Azure Hybrid BenefitでAzure上の料金を抑えられます。見積もりは、この割引を入れた場合と入れない場合の両方で出してください(Azure Hybrid Benefit for Windows Server)。
使いたいサービスが両方にあるか確かめる
どちらか一方にしかないサービスもあります。Microsoftの対応表で、使いたいサービスに相手側の対応があるかを確かめます。
料金は同じ構成で見積もって比べる
AWS Pricing CalculatorとAzure 料金計算ツールに、同じリージョン(東京など)と同じ規模の構成を入れて比べます。長く使うなら、Savings PlansやReservationsを入れた金額でも比べてください。
迷ったら無料の範囲で両方を触る
どちらも無料で試せる範囲があります。CLIでサインインして仮想サーバーを1台作って消すところまで試すと、画面や操作の違いが分かります。
AWSとAzureの資格・学習方法
AWSはAWS認定、AzureはMicrosoft Credentialsで資格を用意しています。どちらも公式サイトで、試験の範囲や対象者、学習用の教材を確かめられます。
AWS認定の受験記録は「AWS認定SysOpsアドミニストレーター アソシエイト」(現在の名前はAWS Certified CloudOps Engineer – Associate)、AWSの全体像は「AWSとは」を読んでください。
AWSからAzure、AzureからAWSへ移行するときの注意
サービスの名前が対応していても、中身まで同じとは限りません。たとえばDynamoDBとCosmos DB for NoSQLは、どちらもパーティションキーでデータを分けますが、整合性、インデックス、クエリ、トランザクション、容量、料金のモデルが違います。Microsoftは、APIの互換性をあてにせず、アプリとデータモデルの変更を計画するよう書いています(Database services on Azure and AWS)。
- 移す前に、使っているサービスを対応表で1つずつ相手側のサービスに置き換える
- データベースは、データの持ち方やクエリが変わる前提でアプリの修正を見積もる
- 移す前と後で、同じ構成の料金を計算ツールで比べる
参考
- Azure for AWS professionals(Microsoft Learn)
- Compute services on Azure and AWS
- Compare storage on Azure and AWS
- Database services on Azure and AWS
- AWS Global Infrastructure
- AWS Regions
- Azure regions list
- AWS Free Tier
- Azure account options
- Amazon EC2 pricing
- AWS Savings Plans
- Azure Reservations
- Azure savings plan
- Azure Spot Virtual Machines
- Spot Instance interruptions
- Azure Hybrid Benefit
- Azure Hybrid Benefit for Windows Server
- AWS Shared Responsibility Model
- Shared responsibility in the cloud(Azure)
- New name for Azure Active Directory
- Installing the AWS CLI
- Configuring the AWS CLI
- Configuring IAM Identity Center authentication with the AWS CLI
- Install the Azure CLI
- Sign in with Azure CLI

コメント