Linuxカーネルの脆弱性CVE-2026-98432|Ubuntu・RHELは未修正(10月30日時点)、Debian・Oracle Linux・Amazon Linuxの直ったバージョンと確かめ方

LinuxカーネルのCVE-2026-98432は、IPv4のTCPの処理にある脆弱性。自分のサーバーのOSとカーネルのバージョンを確かめ、直ったカーネルが出ていれば更新して再起動する。まず cat /etc/os-release と uname -r で、OSの名前とバージョン、いま動いているカーネルを見る。Debian、Oracle LinuxのUEK、SUSE Linux Enterprise Server 16.0と15のLTSS、Amazon Linux 2023のkernel6.12とkernel6.18には、直ったカーネルが出ている。Ubuntu、RHEL 8・9・10、SUSE Linux Enterprise Server 15 SP7、Amazon Linux 2023の標準のkernel、Amazon Linux 2は、まだ直っていない。カーネルは、更新したあと再起動して、はじめて新しいものに切り替わる。まだ直っていないディストリビューションは、そのディストリビューションのCVE-2026-98432のページで、直ったカーネルが出たかを確かめる。Linuxのサーバーを管理している人へ

LinuxカーネルのCVE-2026-98432は、IPv4のTCPの処理にある脆弱性です。

Debian、Oracle LinuxのUEK、SUSE Linux Enterprise Server 16.0と15のLTSSには、直ったカーネルが出ています。Amazon Linux 2023も、kernel6.12とkernel6.18は直りました。

直ったカーネルが出ているディストリビューションでは、更新して再起動してください。

Ubuntuと、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の8・9・10には、まだ直ったカーネルが出ていません。自分のサーバーが当たるかは、OSとカーネルのバージョンを見て、下の表の直ったバージョンとくらべると確かめられます。

10月30日10時31分時点の、各ディストリビューションのセキュリティ情報と、CVEの記録の内容です。

目次

結論:ディストリビューションごとの状況

ディストリビューション 状況
Debian 13 直った。6.12.113-1から
Debian 12 直った。6.1.190-1から
Ubuntu まだ。26.04・24.04・22.04は修正の作業中
RHEL 8・9・10はまだ(影響あり)。RHEL 7は影響なし
Oracle Linux UEKは直った。2026年10月16日のエラータ
Amazon Linux 2023 kernel6.12・kernel6.18は直った。標準のkernelはまだ
Amazon Linux 2 まだ
SUSE SLES 16.0と、15 SP4〜SP6のLTSSは直った。15 SP7はまだ

どのディストリビューションでも、カーネルは更新したあと再起動して、はじめて新しいものに切り替わります。

どんな脆弱性か

Linuxカーネルの担当が出したCVEの記録によると、TCPの接続の要求を処理する部分で、使い終わって手放したメモリーを、別の処理がまだ使ってしまうことがあります(use-after-free)。発表は2026年10月15日です。

  • 影響があるカーネル:4.4から、直ったバージョンの前まで
  • IPv6:最初の問題には当たらない(CVEの記録の説明)
  • 届く範囲:CVEの記録は、TCPの接続を受け付けているサーバーなら、アプリのログインより前の段階で、ネットワーク越しに届くとしている
  • 回避策:Red Hatは、手軽で安定した回避策はないとしている

深刻度の値は、出すところで違います。

  • CVEの記録(Linuxカーネルの担当):CVSS 9.8(Critical)。NVDもこの値を載せている
  • Oracle Linux・Amazon Linux・SUSE・Red Hat:CVSS 8.1。重要度はImportant(Red Hatの値は暫定)
  • Ubuntu:優先度はHigh

この脆弱性は、AnthropicがAIのClaudeを使った研究で見つけたものです。研究の中身は、Claudeが見つけた脆弱性とはで読めます。

自分のサーバーのOSとカーネルの確かめ方

はじめに、OSの名前とバージョン、いま動いているカーネルを見ます。

cat /etc/os-release
uname -r

Oracle LinuxとAmazon Linuxでは、uname -rに出たバージョンを、このあとのエラータのバージョンとくらべます。

Debianでは、uname -rに出るのはパッケージのバージョンではありません。Debianのカーネルの手引きによると、Debian 12までは、たとえば6.1系なら「6.1.0-番号」の形で出ます。

DebianとUbuntuでは、入っているカーネルのパッケージのバージョンを、次のコマンドで見ます。

dpkg -l 'linux-image*'

「Version」の列が、このあとの直ったバージョンと同じか新しければ、直ったカーネルが入っています。入れたあと再起動していないと、動いているのは古いカーネルのままです。

Debian:直ったバージョン

Debianのセキュリティトラッカーで、直ったバージョンは次のとおりです。

  • Debian 13(trixie):linux 6.12.113-1(DSA-6568-1)
  • Debian 12(bookworm):linux 6.1.190-1(DLA-4841-1)
  • Debian 12でlinux-6.12を使っている場合:6.12.113-1~deb12u1(DLA-4850-1)

更新は、ふつうのパッケージの更新と同じです。更新が終わったら再起動します。

sudo apt update
sudo apt upgrade
sudo reboot

Debianのapt upgradeは、更新に必要なら新しいパッケージも入れます。

Ubuntu:まだ直ったカーネルは出ていない

UbuntuのCVEのページでは、14.04 LTSを除くリリースが「Vulnerable(影響あり)」です。優先度はHighです。

  • 26.04 LTS:修正の作業中(7.0.0-43.43)
  • 24.04 LTS:修正の作業中(6.8.0-149.149)
  • 22.04 LTS:修正の作業中(5.15.0-203.213)
  • 20.04 LTS・18.04 LTS・16.04 LTS:影響あり
  • 26.10:修正の作業中(7.3.0-10.10)

直ったカーネルが出たら、UbuntuのCVE-2026-98432のページの表示が変わります。そのあと、次のコマンドで更新します。

sudo apt update
sudo apt upgrade

Ubuntuの公式のドキュメントによると、更新によっては、反映に再起動が必要です。カーネルを更新したあとは再起動します。

RHEL:8・9・10はまだ直っていない

Red Hatのセキュリティ情報では、RHELの状況は次のとおりです。

  • RHEL 8・9・10のカーネル:影響あり(Affected)。直ったカーネルはまだ出ていない
  • RHEL 7:影響なし。問題のコードが入っていない
  • RHEL 6:影響なし

「影響あり」は、Red Hatの説明では、近いうちに修正が出るかもしれない状態です。いつ出るかは書かれていません。Red Hatは、手軽で安定した回避策はないとしています。

RHELを使っている場合は、Red HatのCVE-2026-98432のページで、直ったカーネルが出たかを確かめます。

Oracle Linux:UEKは直った

Oracle Linuxでは、2026年10月16日に、UEK(Unbreakable Enterprise Kernel)のエラータが出ました。直ったUEKのバージョンは次のとおりです。

  • UEK R6(Oracle Linux 7・8):ELSA-2026-500397で、5.4.17-2136.360.3.1から
  • UEK R7(Oracle Linux 8・9):ELSA-2026-500398で、5.15.0-325.221.6.4から
  • UEK R8(Oracle Linux 9・10):ELSA-2026-500399で、6.12.0-207.111.5.4から

OracleのCVEのページに載っているのは、UEKのエラータです。OracleのUEKのドキュメントでは、dnfで更新したあと再起動する手順です。

sudo dnf update -y
sudo reboot

Amazon Linux:kernel6.12とkernel6.18は直った

Amazon Linuxのセキュリティセンターでは、状況は次のとおりです。

  • Amazon Linux 2023のkernel6.12:6.12.113-138.209で直った(ALAS2023-2026-3335、2026年10月29日)
  • Amazon Linux 2023のkernel6.18:6.18.56-125.164で直った(ALAS2023-2026-3251、2026年10月24日)
  • Amazon Linux 2023の標準のkernel:まだ(Pending Fix)
  • Amazon Linux 2:Core、Kernel-5.4・5.10・5.15 Extraのどれも、まだ(Pending Fix)

kernel6.12を使っている場合、Amazon Linuxの勧告に書かれた更新のコマンドは次のとおりです。

sudo dnf update kernel6.12 \
  --releasever 2023.12.20261028

kernel6.18を使っている場合は次のとおりです。

sudo dnf update kernel6.18 \
  --releasever 2023.12.20261026

AWSのドキュメントでは、カーネルを入れたあと再起動します。

sudo reboot

SUSE:16.0と15のLTSSは直った

SUSEのCVEのページでは、全体の状況は「Pending」で、重要度はimportantです。

  • SUSE Linux Enterprise Server 16.0:kernel-default 6.12.0-160000.40.1以降で直った
  • SUSE Linux Enterprise Server 15 SP6-LTSS:kernel-default 6.4.0-150600.23.143.1以降で直った
  • SUSE Linux Enterprise Server 15 SP5-LTSS:kernel-default 5.14.21-150500.55.195.1以降で直った
  • SUSE Linux Enterprise Server 15 SP4-LTSS:kernel-default 5.14.21-150400.24.246.1以降で直った
  • SUSE Linux Enterprise Server 15 SP7:影響あり。修正の作業中

自分でカーネルを入れている場合

kernel.orgのカーネルをそのまま使っている場合は、CVEの記録にある、次のバージョンから直っています。

  • 5.10系:5.10.272
  • 5.15系:5.15.223
  • 6.1系:6.1.190
  • 6.6系:6.6.159
  • 6.12系:6.12.113
  • 6.18系:6.18.56
  • 7.2系:7.2.10
  • 7.3:最初から直っている

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出典

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この記事を書いた人

社内エンジニアとして、SREとセキュリティの仕事をしています。サーバーの構築や運用、クラウド環境の設計にも関わってきました。趣味はゲームと漫画・アニメ。

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