Tailscaleに研究者が11件指摘、うちSSHは4件、修正とCVEはまだ|Tailscale SSHを使っているかの確かめ方と当面の対策

Tailscale SSHへの指摘。関係あるかと、今できること。関係するのは、Tailscale SSHが有効な機器。まず、管理画面のMachinesページで「Tailscale SSH」に絞り込んで確かめる。使っていない機器は、ほかの方法でSSH接続できるかを確かめてから、tailscale set --ssh=false で止める。使っている機器は、ポリシーファイルのssh欄のルールを、必要な人と機器だけに絞る。フォワーディングは、使っていなければ止める。自動更新を有効にして、直ったバージョンが出たらすぐ入るようにする。Tailscale SSHを使っている人へ

Tailscale v1.104.2とheadscale v0.29.5を調べた研究者が、2026年10月25日(日本時間)に報告書「Tailworm」を公開し、11件の問題を指摘しました。うち4件はTailscale SSHについてです。Tailscaleのセキュリティ告知、修正したバージョン、CVEは、まだ出ていません。

関係するのは、Tailscale SSHを有効にしている機器です。Tailscale SSHは初期設定では無効で、サーバーを動かせるのはLinuxと、オープンソースのtailscaledをCLIで動かすmacOSです。

まず管理画面で、Tailscale SSHが有効な機器があるかを確かめてください。使っていない機器では、コマンドで止められます(手順は「当面の対策」にあります)。

目次

結論:まずTailscale SSHを使っているかを確かめる

  • 研究者が指摘したのは11件で、Tailscale SSHについては4件です。ほかの7件は、Tailscale Serve・Funnel、app connector、headscaleなどについてです。
  • Tailscale SSHについての指摘の多くは、Tailscale SSHが有効で、乗っ取られた機器からのSSH接続とフォワーディングがルールで許されている場合の話だ、と研究者は書いています。1〜3件目については、そうした場合に、ほかのサーバーでrootの権限を取られるおそれがある、としています。
  • Tailscaleのセキュリティ告知、修正したバージョン、CVEは、まだありません。
  • Tailscale SSHを使っていない機器では、止めておけます。使っている機器では、ポリシーファイルのssh欄のルールを見直します。

Tailscale SSHを使っているかの確かめ方

管理画面のMachinesページで探す

管理画面のMachinesページで、Filtersから「Property」を選び、「Tailscale SSH」を選ぶと、Tailscale SSHが有効な機器だけが表示されます。検索欄に次の文字を入れても、同じように絞り込めます。

property:tailscale-ssh

機器の上で確かめる

Tailscale SSHが有効になるのは、機器で次のどちらかを実行したときです。

tailscale set --ssh
tailscale up --ssh

今の設定は、次のコマンドで表示できます。trueと出れば、その機器ではTailscale SSHが有効です。

tailscale get ssh

入っているTailscaleのバージョンは、次のコマンドでわかります。

tailscale version

ポリシーファイルのssh欄を見る

誰がどの機器にTailscale SSHで入れるかは、tailnetのポリシーファイルのssh欄で決まります。ポリシーファイルは、管理画面のAccess controlsページで開けます。Tailscale SSHでつながるのは、ポリシーファイルで接続が許され、接続先の機器でもTailscale SSHが有効なときです。

ポリシーファイルを書き換えていないtailnetにも、初めからsshのルールが入っています。メンバーが自分の機器に、check modeで、rootでもroot以外のユーザーでも入れる、というルールです。

当面の対策

使っていない機器では、Tailscale SSHを止める

Tailscale SSHを使っていない機器では、その機器で次のコマンドを実行すると止められます。

tailscale set --ssh=false

止める前に、Tailscale SSH以外の方法でその機器にSSH接続できるかを確かめてください。ほかに入る方法がないと、その機器に入れなくなるおそれがあります。

tailnet全体でTailscale SSHをやめるときは、すべての機器でTailscale SSHを止め、ポリシーファイルからTailscale SSHのルールを消します。

使っている機器では、ssh欄のルールを絞る

ssh欄のルールは、接続元(src)、接続先(dst)、ログインできるユーザー(users)の組み合わせで書きます。研究者は報告書で、次の見直しを勧めています。

  • ルールは、決まった接続元から決まった接続先への組み合わせで書く
  • ユーザーやタグ全体に許す、広いacceptのルールは消す
  • rootや、パスワードなしでsudoできるアカウントへのログインは許さない(ただし研究者は、これは補助の対策だとしています。Tailscale SSHについての1〜3件目は、root以外のアカウントからでも起きるため、これだけでは防げないからです)
  • フォワーディングは、必要なとき以外は許さない(機器で止める方法は「Tailscaleが勧めている対策」にあります)
  • headscale v0.29.5ではフォワーディングを止められないため、SSHを許すルールはどれも、rootの権限を渡すのと同じと考える

Tailscaleが勧めている対策

TailscaleでエンジニアリングのVP(エンジニアリング部門の責任者)を務めるMike Shaver氏は、日本時間10月25日にRedditに投稿し、報告書を受け取って調べていること、見つかった問題を直していることを書きました。そのうえで、全員にTailscale SSHを止めることは勧めていないとし、次の4つを勧めています。

  • SSHのルールを見直し、必要な人と機器だけに許す
  • SSHのフォワーディングを使っていなければ止める
  • check modeを使う(ただし、権限の昇格そのものは防げない)
  • 自動更新を有効にし、修正が出たらすぐ入るようにする

フォワーディングを止めるには、tailscaledのサービスの環境変数に次の値を入れて、サービスを再起動します。Tailscale SSHそのものは止めずにフォワーディングだけを止められ、より重い指摘のいくつかの影響を小さくできる、とTailscaleは書いています。

TS_SSH_DISABLE_FORWARDING=1

check modeは、接続の前にもう一度ログインを求めるしくみで、ポリシーファイルのssh欄で"action": "check"にすると使えます。自動更新は、機器で次のコマンドを実行すると有効になります。

tailscale set --auto-update

研究者の指摘:11件のうちTailscale SSHは4件

対象 件数 報告書の番号
Tailscale SSH 4件 1、2、3、5
Tailscale Serve・Funnel 5件 7〜11
app connector(実験的な機能) 1件 4
headscale・DERP 1件 6

研究者が試したのは、Tailscale v1.104.2とheadscale v0.29.5です。それより前のバージョンが当てはまるかは、わかっていません。

Tailscale SSHについての4件は、Tailscale SSHのサーバーの問題として書かれています。1〜3件目について、研究者は、次の3つがそろうと、ほかのサーバーでrootの権限を取られるおそれがあるとしています。

  • 接続先の機器で、Tailscale SSHが有効になっている
  • 攻撃者がすでにtailnetの中の1台を乗っ取っていて、その機器からの接続がssh欄のルールで許されている
  • ルールで、フォワーディングが許されている

5件目は、SSHの接続が許された相手が、Tailscaleの常駐プログラムのメモリーを使い切らせるおそれがあるという指摘です。

指摘はどれも、研究者1人の報告書によるものです。ほかの研究者による再現や、Tailscaleによる1件ずつの確認はまだない、とThe Hacker Newsは伝えています。

修正・CVE・Tailscaleの告知の状況

  • Tailscaleのセキュリティ告知:この件の告知はない(最新はTS-2026-013で、別の件)
  • 修正したバージョン:出ていない(最新はv1.104.2で、変更履歴にこの件の記載はない)
  • CVE:NVDにも、GitHubのセキュリティアドバイザリーにも登録されていない
  • headscale:v0.29.6が出ているが、この件を直したとは書かれていない
  • Tailscaleの反応:報告書を受け取って調べている。見つかった問題を直す作業をしている(TailscaleのRedditの投稿による)

Tailscale v1.104.2は日本時間10月21日に、headscale v0.29.6は日本時間10月24日に出ました。Tailscaleは、確かめた内容、影響を受ける設定、勧める対策、修正を載せたセキュリティアドバイザリーを出す、としています(Redditの投稿による)。

この記事は、2026年10月26日10時32分(日本時間)時点の、Tailscaleのセキュリティ告知・変更履歴・公式ドキュメント、GitHub、NVD、TailscaleのRedditの投稿、研究者の報告書をもとにしています。

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参考

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この記事を書いた人

社内エンジニアとして、SREとセキュリティの仕事をしています。サーバーの構築や運用、クラウド環境の設計にも関わってきました。趣味はゲームと漫画・アニメ。

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