OSI参照モデルの第2層(データリンク層)とは?役割と身近な例

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OSI参照モデルの第2層(データリンク層)は、同じネットワークの中で、となりの機器までデータを届ける層です。「L2スイッチ」の「L2」は、この第2層のことです。

この記事では、データリンク層の役割、MACアドレスやスイッチなどの身近な例、TCP/IPモデルでの位置づけ、よくあるトラブルと安全な確かめ方を解説します。

OSI参照モデルの第2層データリンク層を強調した7層図と、その役割・身近な例
目次

データリンク層とは?役割をひとことで

スイッチがMACアドレステーブルを見て、宛先の機器がつながるポートにだけフレームを送るイメージ図

データリンク層は、直接つながっている機器どうし(同じネットワークの中)で、データを正しく受けわたす役割をもちます。主な仕事は次のとおりです。

  • 宛先の指定:機器ごとのMACアドレスを使って「だれあてか」を示す
  • フレームにまとめる:データに宛先・送信元のMACアドレスなどのヘッダーを付けて、フレームという単位にする
  • エラーの検出:届いたフレームが途中でこわれていないかを確かめる(こわれていたら捨てる)
  • 送る順番の調整:同じ線や電波を複数の機器で使うとき、ぶつからないように調整する

データリンク層が届けるのは「となりの機器まで」です。ルーターをこえて遠くのネットワークまで届けるのは、次の第3層(ネットワーク層)の仕事になります。

データリンク層の身近な例

分類例ポイント
アドレスMACアドレス(例:00:1a:2b:3c:4d:5e)ネットワークカードごとの48ビットのアドレス。16進数で表す
機器スイッチ(スイッチングハブ、L2スイッチ)、ブリッジ、Wi-FiのアクセスポイントMACアドレスを見て、届け先のポートを選ぶ
規格イーサネット(IEEE 802.3)、Wi-Fi(IEEE 802.11)物理層とデータリンク層をあわせて決めている
しくみVLAN(IEEE 802.1Q)1台のスイッチの中で、ネットワークを論理的に分ける
データの呼び方(PDU)フレームMACアドレスなどのヘッダーと、エラー検出用の情報が付く

スイッチはMACアドレスを「覚えて」送る

スイッチは、フレームが届くたびに「このMACアドレスの機器は、このポートの先にいる」と表(MACアドレステーブル)に覚えていきます。次にそのMACアドレスあてのフレームが来たら、そのポートにだけ送ります。まだ覚えていない宛先あてのときは、ほかのすべてのポートに送ります。

受け取った信号をすべてのポートに流していた昔のリピーターハブ(第1層の機器)とちがい、必要なところにだけ送るので、むだな通信が減ります。

IPアドレスとMACアドレスをつなぐARP

パソコンが同じネットワークの機器にデータを送るとき、相手のIPアドレス(第3層)はわかっていても、MACアドレス(第2層)がわからないとフレームを作れません。そこで使われるのがARP(Address Resolution Protocol)です。ARPは、RFC 826で「ネットワークのアドレスを48ビットのイーサネットのアドレスに変換する」ためのプロトコルとして定められています。

しくみはシンプルで、「このIPアドレスの人はいますか?」とネットワーク全体に問いかけ(ブロードキャスト)、該当する機器が自分のMACアドレスを答えます。ARPは第2層と第3層の橋わたしをするため、資料によって「2.5層」のように紹介されることもあります。

TCP/IPモデルではどこにあたる?

RFC 1122が定めるTCP/IPの4つの層では、OSIのデータリンク層は、物理層といっしょにリンク層にふくまれます。RFC 1122はリンク層について、ホストがつながっているネットワークと通信するための層として扱い、イーサネットなどの上でIPを運ぶための要件(ARPの使い方など)をまとめています。

よくあるトラブルと確かめ方

よくある原因

  • IPアドレスの重複:同じIPアドレスを2台が使い、ARPの答えがぶつかって通信が不安定になる
  • ループ:スイッチどうしをケーブルで輪のようにつなぐと、ブロードキャストがぐるぐる回り続け(ブロードキャストストーム)、ネットワーク全体が重くなる
  • VLANの設定ちがい:つなぐポートのVLANがちがうと、同じスイッチにつないでいても通信できない
  • Wi-Fiの接続先ちがい:ゲスト用のWi-Fiなど、別のネットワークにつないでいる

コマンドで確かめる(Linuxの例)

次のコマンドは、自分のパソコンが知っている情報を表示するだけの確認用です。

ip link show

link/ether のあとに表示されるのが、そのインターフェースのMACアドレスです。

ip neigh

ARPなどで覚えた「近くの機器のIPアドレスとMACアドレスの対応表」が表示されます。デフォルトゲートウェイ(ルーター)のIPアドレスが REACHABLE や STALE で載っていれば、第2層でルーターが見えています。FAILED や INCOMPLETE が続く場合は、ケーブル・Wi-Fi・VLANなど、第1〜2層の接続を疑いましょう。

WindowsやmacOSでは、arp -a で同じような一覧を見られます。

よくある質問

MACアドレスは変わらない?

MACアドレスはもともとネットワークカードごとに割り当てられていますが、ソフトウェアで別の値に変えて使うこともできます。最近のスマホやパソコンには、プライバシーを守るため、Wi-Fiごとにランダムなアドレスを使う機能があります。そのため、MACアドレスだけで機器を確実に見分けられるとは限りません。

L2スイッチとL3スイッチのちがいは?

L2スイッチはMACアドレス(第2層)を見て転送します。L3スイッチは、それに加えてIPアドレス(第3層)を見て、ネットワーク(VLAN)の間をルーターのように転送することもできます。

MACアドレスでインターネットの相手まで届けられないの?

MACアドレスで届けられるのは、同じネットワークの中だけです。ルーターをこえるたびに、フレームのMACアドレスは次の区間用に付けかえられます。遠くまで届けるための宛先は、第3層のIPアドレスです。

まとめ

  • データリンク層は、同じネットワークの中で、となりの機器までデータを届ける層
  • MACアドレス、スイッチ、イーサネット、Wi-Fi、VLANが身近な例。データの呼び方はフレーム
  • ARPがIPアドレスとMACアドレスを結びつける
  • TCP/IPでは、物理層といっしょに「リンク層」にふくまれる
  • 確かめるときは ip link show、ip neigh で、MACアドレスや近くの機器が見えているかを見る

前の層は第1層(物理層)、次の層は第3層(ネットワーク層)です。どちらもシリーズの記事で解説しています。

OSI参照モデル シリーズ記事

このシリーズでは、OSI参照モデルの全体像と、7つの層を1つずつ解説しています(各記事は順に公開予定です)。

参考資料

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この記事を書いた人

社内エンジニアとして、SREとセキュリティの仕事をしています。サーバーの構築や運用、クラウド環境の設計にも関わってきました。趣味はゲームと漫画・アニメ。

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