OSI参照モデルの第1層(物理層)とは?役割と身近な例

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OSI参照モデルの一番下にあるのが第1層(物理層)です。LANケーブルや光ファイバー、Wi-Fiの電波など、「目に見える・さわれる」部分にいちばん近い層です。

この記事では、物理層の役割、身近な例、TCP/IPモデルでの位置づけ、よくあるトラブルと安全な確かめ方を解説します。OSI参照モデルの全体像は、シリーズの全体解説の記事で紹介しています。

OSI参照モデルの第1層物理層を強調した7層図と、その役割・身近な例
目次

物理層とは?役割をひとことで

物理層が0と1のデータを電気・光・電波に変えて送り、受け取る側で0と1に戻すイメージ図

物理層は、データの0と1(ビット)を、電気の信号・光・電波などに変えて送り、受け取った信号をまた0と1に戻す役割をもちます。

物理層が決めているのは、たとえば次のようなことです。

  • 伝える方法:電気(銅線)、光(光ファイバー)、電波(無線)のどれを使うか
  • 信号の形:0と1をどんな電圧・光の点滅・電波の変化で表すか
  • コネクタやケーブルの形:LANケーブルの差し込み口(RJ-45)や、ピンの並び
  • 速さと距離:1秒あたりにどれだけ送れるか、どこまで届くか

物理層は「中身が何のデータか」は気にしません。ただ0と1を正しく運ぶことに集中します。宛先を見て届け先を決めるのは、もっと上の層の仕事です。

物理層の身近な例

分類例ポイント
ケーブルLANケーブル(ツイストペアケーブル)、光ファイバー、同軸ケーブルカテゴリ(Cat5e、Cat6など)で対応する速さが変わる
無線Wi-Fiの電波(2.4GHz帯・5GHz帯など)電波の届き方は壁や距離、ほかの電波の影響を受ける
コネクタRJ-45(LANの差し込み口)、光ファイバーのコネクタ形が合わないと物理的につながらない
機器リピーター、リピーターハブ、メディアコンバーター、ネットワークカードの送受信部分信号を中継・変換するだけで、宛先は見ない
データの呼び方(PDU)ビット0と1の並びそのもの

LANの規格として広く使われているイーサネットは、IEEEの802.3という規格で決められています。IEEEの説明によると、802.3は同軸ケーブル・ツイストペア(より対線)・光ファイバーなどの上で動く物理層の装置(PHY)と、その上のMAC(媒体アクセス制御)をあわせて定めています。つまり、イーサネットは物理層と次のデータリンク層にまたがる規格です。Wi-Fi(IEEE 802.11)も同じように、物理層とデータリンク層の両方を決めています。

TCP/IPモデルではどこにあたる?

インターネットのホストの要件をまとめたRFC 1122では、TCP/IPの層をアプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・リンク層の4つに分けています。OSIの物理層は、データリンク層といっしょに、TCP/IPのリンク層にふくまれます。

TCP/IPの世界では、物理層の細かい決まりはIEEEなどほかの規格にまかせていて、IPは「その下で何が使われていても動く」ように作られています。だからこそ、同じブラウザで有線LANでもWi-Fiでもスマホの回線でも同じようにWebを見られるのです。

よくあるトラブルと確かめ方

「急にネットにつながらなくなった」とき、まず物理層から確かめると、意外とあっさり原因が見つかることがあります。

よくある原因

  • LANケーブルが抜けかけている、ツメが折れている
  • ケーブルが古い・傷んでいる、規格(カテゴリ)が速さに合っていない
  • ルーターやスイッチの電源が入っていない、ポートが故障している
  • Wi-Fiの電波が弱い(ルーターから遠い、壁が多い、電子レンジなどの影響)

目で確かめる

  • 機器のポートのランプ(リンクランプ)が点いているか
  • ケーブルを別のポートや別のケーブルに差しかえると直るか

コマンドで確かめる(Linuxの例)

次のコマンドは、自分のパソコンのネットワークの状態を表示するだけの確認用です。

ip link show

インターフェースの行に state UP と出ていればリンクがつながっています。NO-CARRIER や state DOWN と出ていたら、ケーブルや相手の機器など物理的な接続を疑いましょう。

ethtool eth0

ethtool が入っている環境では、有線LANの速さ(Speed)や全二重・半二重(Duplex)、リンクの有無(Link detected)を確かめられます。eth0 の部分は、ip link show で表示されたインターフェース名に置きかえてください。思ったより遅い速さで接続されているときは、ケーブルの規格や傷みを疑うきっかけになります。

nmcli device status

NetworkManagerを使っている環境では、有線・無線それぞれが「接続済み」かどうかを一覧で見られます。

よくある質問

ハブとスイッチはどうちがう?

昔の「リピーターハブ」は、受け取った信号をすべてのポートにそのまま流す、物理層の機器です。いまよく使われる「スイッチ(スイッチングハブ)」は、MACアドレスを見て必要なポートだけに送る、データリンク層の機器です。家電量販店などで「ハブ」として売られているものも、多くはスイッチングハブです。

Wi-Fiは物理層?

Wi-Fiの電波の部分は物理層ですが、どの機器が電波を使って送るかを調整したり、アクセスポイントにつないだりする部分はデータリンク層です。Wi-Fiの規格(IEEE 802.11)は、この2つの層をあわせて決めています。

ケーブルを高いものに変えると速くなる?

ケーブルは、機器や回線が対応している速さを出すための条件の一つです。ケーブルの規格が足りていないと遅くなることはありますが、回線やルーターの速さ以上には速くなりません。

まとめ

  • 物理層は、0と1を電気・光・電波に変えて送る、OSI参照モデルの一番下の層
  • LANケーブル、光ファイバー、Wi-Fiの電波、コネクタ、リピーターなどが身近な例。データの呼び方はビット
  • TCP/IPでは、データリンク層といっしょに「リンク層」にふくまれる
  • つながらないときは、ランプ、ケーブルの差しかえ、ip link show などで最初に確かめる

次の層は第2層(データリンク層)です。MACアドレスやスイッチのしくみを、シリーズの次の記事で解説します。

OSI参照モデル シリーズ記事

このシリーズでは、OSI参照モデルの全体像と、7つの層を1つずつ解説しています(各記事は順に公開予定です)。

参考資料

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この記事を書いた人

社内エンジニアとして、SREとセキュリティの仕事をしています。サーバーの構築や運用、クラウド環境の設計にも関わってきました。趣味はゲームと漫画・アニメ。

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